養子縁組の落とし穴

遺産相続をするときに被相続人の子供の配偶者を養子にして相続人を増やすケースがありますが、これにはいくつかのメリットがあります。
まずひとつめは法定相続人の数を増やすことによって基礎控除額を高くすることができる点で、基礎控除額は(3,000万円+600万円×法定相続人の数)で計算されますから、法定相続人が1人増えることによって600万円も基礎控除額が増えるのです。

遺産相続するときにもっとも頭を悩ませるのが相続税に関することで、これは相続する財産の総額から基礎控除額あるいは配偶者控除額を引いた金額が対象となります。
平成26年12月31日までは相続税の基礎控除額の計算は(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)だったのが、税制の改正によって平成27年1月1日より(3,000万円+600万円×法定相続人の数)になりました。

およそ4割も引き下がったことにより、相続税の対象となる人は大幅に増えたため、基礎控除額が増えればそれだけ助かるのです。
また税率も10%~50%から10%~55%となっていますから、できるだけ適用税率が低くなるようにするなら法定相続人が増えることはメリットになります。

ほかにも生命保険金や死亡退職金の非課税限度額は500万円×法定相続人の数となっていますから、こちらも法定相続人が多いほうが非課税限度額が増えるのです。
このように養子縁組には大きなメリットがいくつもありますが、実は思わぬ落とし穴があることも忘れてはなりません。

冒頭でお伝えしたように被相続人の子供の配偶者と養子縁組をした場合、被相続人とその子供の配偶者は戸籍上も親子関係が成立したことになりますから、当然法定相続人としての権利を得ます。
しかしもし被相続人の子供とその配偶者が離婚してしまった場合、2人の間の婚姻関係はなくなるものの、被相続人との親子関係は残ったままになるのです。

つまり離婚して無関係になった人にも相続権が発生するということになりますから、養子縁組をした後に離婚があったときには養子縁組の解消も同時にやっておく必要があります。
相続するときに気付いてしまってもすでにスタートしている段階では相続欠格事由や相続廃除事由でもない限り法定相続人と認めざるを得なくなってしまいます。

養子縁組の解消は双方の同意が必要になりますので、もし養子縁組をするなら離婚する場合には解消するという旨を記載した契約書を作成することをおすすめします。